更新日:10/09/02

第二十一回 泰永書展

〜感性の麻痺〜レポート

 

タイトル

第二十一回 泰永書展〜感性の麻痺〜

会期

時期:8月27日()〜31日(火)5日間

時間:11時〜18時(初日のみ12時〜)

会場

東京芸術劇場 展示室T

来場者数

計392名 27(金)[晴]47名/28(土)[晴]114名/29(日)[晴]93名/30(月)[晴]81名/31(火)[晴]57名

展示内容

作家:17人 書作:24点=18点(作品集掲載)+6点(作品集非掲載)

配布、閲覧物

過去作品集:40部(無料)/平成の巨人 野尻泰煌B5チラシVer8:45枚(無料)/宣伝用チラシ:300枚(無料)/作品釈文A4:30枚(無料)/対談「感性の麻痺」:50枚(無料)/泰永会入塾生募集ハガキ:15枚(無料)/書藝要説サンプル:5冊(閲覧用)/チラシで見る泰永書展:2冊(閲覧用)

業者等

(敬省略)

(順不同)

主宰:野尻泰煌/企画制作運営:泰永会事務局/表装:(株)劫榮麓/作品集撮影:野尻貢右・フォトスタジオ美苑 松里浩義/宣材写真:フォトスタジオ美苑 松里浩義 [Web]/印刷物デザイン制作:也太奇-YATAIKI- [Web]/作品集印刷:サンライズパブリケーション(株)

[事務局より]

 今年の泰永書展は初めての夏開催。立秋はとうに過ぎたというのに連日30度をゆうに突破する真夏日、更には猛暑日が続き、当然のように5日間快晴であった。私が事務局入りして丁度10年が経過するが、過去において連日快晴であったことは1度もなかった。(季節的なものはあるにしても) 今年は台風も4号の1回しか上陸していない。会期中30日に沖縄で台風7号の被害が報じられたが、今年は異常な暑さにくわえ、台風も極端に少ない夏となった。あまりの暑さにツクツクボウシがほとんどないておらず、真夜中に鳴く自律神経失調症と言えるような蝉がいるほどである。この現象は国内のみならず国外でも多くの自然災害をもたらしているようだ。ロシアの森林火災や中国での洪水、オーストラリアでの寒波。主宰は毎日のように開口一番「今日も暑いねぇーっ。もー嫌になる!」と繰り返す。日中クーラーをつけずに過ごしていた私としては会場は十分に涼しく感じていたが、外は本当に暑かった。日差しがレーザービームのごとく肌をやく。

 

 さて、第十三回展より毎回テーマを設けているが今年は「感性の麻痺」とした。ちなみに、テーマと展示作品の内容は一切関わりがない。こうした展示会は、展示を観て終わりという流れが普通だが、家へ帰って別な余韻を楽しめるファクターが欲しいと思い始めた。評判が良いので続けている。テーマは会員向けに発行している書藝要説の対談集よりピックアップし、会場で要約したものを限定数無料で配布している。この対談集を持ち帰って後で読むという密かな楽しみとなっているようだ。

 

 今年は会場レイアウトを構想している段階から胸踊るほど多彩な作品構成となった。鑑賞された方も楽しまれたのではなかろうかと思う。こうしたことは毎年あるわけではない。どうしても書道展は画一的なサイズ、画一的な書体、展示になりがちである。誰が出して頂けるか、どのような作品になるかは本人と主宰の胸先三寸による。作品サイズ、書体、作品の質、それらが一体となって初めて胸踊る展示が叶う。「マッちゃん、少数精鋭でいくよ」と主宰が語ってから数年がたつ。展示数そのものが絞られ、事務局的には正直言うと色々悩ましい。だが、年々展示の質が向上し、こうした展示が出来ることは大変喜ばしい。

[フォトギャラリー]

(芸術劇場1Fロビー)

2011年4月より改修工事に入る東京芸術劇場。

第十一回展より丸10年間お世話になった。

天井が高い展示室だったからこそ出来た作品も少なくない。

来年は場所を変えての書展となる。

(書展入り口)

最も重要な正面は、主宰であり書家である野尻泰煌氏の作品がお出迎え。

2×8の隷書額作品。200字以上が犇めいている。

(野尻泰煌:作)

過去に何度も取り上げた詩文だが、氏はその選択に特に意味はないと答える。

野尻「草稿をつくる時間が惜しいなぁと思っていたところ、これが手に届くところにあったんだ」

個展に立脚しながら独自の世界観を表出させている。

距離により全く見え方が異なり、離れるほどにその質感・量感が見るものを圧倒。

(会場全景)

今年は五体全てが揃い、標準的な半切から大型の3×8、

規定サイズに囚われない変化に飛んだサイズの作品が並んだ。

泰永書展の醍醐味を発揮できた。

(来場者の注目作)

毎年内外から声が上がる人気作を集めてみた。

右は3×8尺という大きな紙に書かれた曹全碑の臨書作。恒例となった。

毎年楽しみにこれらるお客様もいる。最終日には、

イギリスからのお客様がこの作品の前で写真をとって欲しいとシャッターを頼まれる。

海外からのお客様は隷書と楷書に美観をくすぐられるようだ。

*

左は篆書1字作。表具サイズが泰永会ならでは。

「史」と書かれている。

彼の作品は毎年人気が高く、老若男女、プロアマ問わず注目を受ける。

彼の作品が毎年楽しみだと語るお客様も多い。

そういう作品は珍しい。

書家からの評価も高く、「小六男子が書きました」と答えると目を丸くされる。

泰永会は楷書が多く出る。

大人の部でこれほど出る会も珍しいそうだ。

左4字の楷書作、独特なバランス感覚が表出される。

右の篆書作は絵のような書き振りに注目を受ける。

「回回」(かいかい)と書かれている。

書き方の質問も多かった作品。

大きな作品が多い上に広い本会場ではスケール感が掴み難いが、

92cm額の楷書作。特殊な表装が施される。

表具は事務局が指定するか、表具業者に一任される場合が主だが、

特に優秀、もしくは力作と主宰に認めれた作品は氏から表具指示がある。

これもその一つ。

「普通サイズに表具したら作品が死んでしまうから」

と指示で出たのはこの作品も同じ。

篆書1字作。「(うずたかく)」と書かれている。

本展で人気の集まった作品の一つ。

小学4年生の作品。

「命の儚さを感じる」

と多くの女性から支持を集めた楷書1字作。

楷書1字作も泰永会の特色となった。

最後の壁面を飾ったのは主宰の細楷6作品。(作品集非掲載)

「なんらかの詩文か、意味があるのですか?」

と質問も多く寄せられた。

「意味はない」と語る。

辞書の活字を見て書かれたため一つとして同じ漢字はない。

一見すると「書」という感覚がなく、

和室、洋室、現代建築、古代建築、リビングから寝室まで

あらゆる場所に飾ってあっても違和感が感じられそうにない。

国内外、プロアマ問わず多くの注目を集めた。

海外からのお客様で写真を撮りたいと申し出る方もいた。